EtBr を含む 1% Agarose S / TAE により 200µg の λ-DNAを電気泳動した。
“λ-DNA を含むバンド部分のゲル”と “DNA を含まないウエル上部のゲル”を切り出して、 Thermostable β-Agarase を用いてアガロースゲルを分解した。 λ-DNA を含むアガロース分解溶液を 100 pg/µl まで希釈し、 PCR の鋳型 DNA とした。また、ウエル上部のアガロース分解溶液を PCR 反応液(50µl)に対し、 1/2倍量、 1/4倍量、 1/8倍量、 1/16倍量を含むように添加し、それぞれ同量(100pg)の鋳型 DNA で増幅した(1.1kbp)。
Lane M Lane 1Positive control
Lane 2アガロース分解溶液の持ち込み量 1/2 倍量 Lane 3アガロース分解溶液の持ち込み量 1/4 倍量 Lane 4アガロース分解溶液の持ち込み量 1/8 倍量
Lane 5アガロース分解溶液の持ち込み量 1/16 倍量
<結果>
アガロースゲル電気泳動写真 Lane 2 と Lane 3 のバンドが Lane 1 のバンドと比べ薄くなっていることから、 PCR 反応液中に 1/4 倍量以上のアガロース分解溶液を持ち込むと PCR を阻害すると思われる。また、電気泳動の Buffer を TBE で同様の試験を行ったところ、 TAE と同様の結果であった。<考察>
PCR 反応液に対し、Thermostable β-Agarase を用いた アガロース分解溶液の添加量を 1/8 倍量以下とすることをお勧めします。
(例: PCR 反応液の容量が 20µlであれば、アガロース分解溶液の添加量を 2.5µl以下にする)
3% Agarose 21 でλ-DNA 由来のPCR産物(500bp)を電気泳動し、ゲルブロックとして切り出した。
ゲルブロック150mg を90℃、5分間で完全に融解してから、65℃まで冷まして、本品6unitsを添加し、混和後、65℃、10分間でゲルを分解した。
1µl のベクター(3kbp, 50ng/µl )に 9µl のDNA溶液(ゲル分解液)を加え Ligation-Convenience Kit を用いてライゲーション反応を行った。ライゲーション反応後、ECOS ™ Competent E. coli DH5αを形質転換し、生じたコロニー数を計測した。対照として、同様に回収した DNA溶液(ゲル分解液)をアルコール沈殿・精製し、得られた沈殿物を150µl のTE に溶解したDNA溶液を用いた。<結果>
ゲルブロックを分解した後のDNA溶液をそのままクローニングに用いた際のクローニング効率は80%で、分解後にアルコール沈殿・精製したDNA溶液を用いた際の効率は85%であった。ゲルブロック分解後のアルコール沈殿・精製の有無によるクローニング効率の差はわずかであった。
サンプルのDNA断片が100bp以下の短鎖の場合、一連の操作* においてDNAの一本鎖へ解離が懸念されるため、短鎖DNA断片(100bp以下)におけるThermostable β-Agarase処理産物に関し、クローニングに対する影響を試験した。
<試験方法>
*スタンダードタイプのアガロースゲルブロックから高温(95℃)でアガロースゲルブロックを融解後、酵素反応(50-65℃)によりアガロースを分解し、氷上にて再凝固しないか確認。
①インサートDNAの調製 Xba I サイトを含むPrimerでλ-DNAを鋳型としたPCR増幅を行った。得られたPCR産物(GC含量44%)をXba Iで消化した(消化産物のサイズ:90bp)。 ②アガロースゲルブロックの切り出し ①で得られた消化産物をアガロースゲル電気泳動(3% Agarose X : 融点≦ 92℃)を行い、アガロースゲルブロック(160mg)を切り出した。 ③アガロースゲルブロックからの核酸抽出 ②のアガロースゲルブロック(160mg)を 2 つに分け(各80mg)、他社スピンカラムとThermostable β-Agarase を用いて、それぞれDNA溶液を得た。Thermostable β-Agarase処理は、95℃ 5分間でゲルブロックを溶解し、 55℃の恒温槽で5分間静置後、Thermostable β-Agarase 3units を添加し55℃で10分間インキュベーションした。その後、氷上にて静置しアガロースが完全に分解したことを確認した。 ④クローニング Xba I で消化し BAP(Bacterial Alkaline Phosphatase) 処理したpUC19をベクターとし、③で得られた各DNA溶液をインサートDNA として、モル比 1:3(ベクター :インサート ≒ 3 ng : 0.3 ng )でライゲーション反応(各 n=3)を行い、E. coli DH5αを形質転換して、Blue/White Selection を行った。
<結果>
形質転換結果(n=3)
ゲル抽出方法 青色
コロニー数 白色
コロニー数 白色
コロニー率(%)Thermostable β-Agarase 125 789 86他社スピンカラム 138 786 85
Thermostable β-Agaraseで回収した短鎖DNA(90 bp)を用いてクローニングしても、 他社スピンカラムと比較してクローニング効率に大きな差は見られなかった。
<考察>
Thermostable β-Agarase処理の一連の操作において考えられるDNAの一本鎖へ解離は、 クローニング効率に与える影響が少ないと考えられる。
1µgのMarker 8 GTを 0.8% Agarose XPゲルで50V、90分間の電気泳動により分離し、166kbpから14kbpまでのDNA断片を含むバンドを250mgのゲルブロックとして切り出した。
65℃にて5分間保温しゲルブロックを融解してから、本品6unitsを添加してピペッティングで良く混和した後、さらに60℃にて10分間保温してアガロースゲルを分解した。
得られたDNAをチェックするため、アガロースゲル分解物の一部をそのまま0.3% Agarose Hゲルにアプライし、20V、16時間の電気泳動を行った。
<結果>
分子量の大きなDNA断片でもThermostable β-Agaraseを用いることで、せん断の少ないDNAを効率よく回収することができた。
制限酵素消化したプラスミドを1.5% 低融点タイプアガロースゲルで分離した。約0.8kbのバンドを100mgのゲルブロックとして切り出し、68℃にて5分間保温してゲルブロックを融解した。
本品6unitsを添加してピペッティングで良く混和した後、さらに68℃にて5分間保温しアガロースゲルを分解した。 *1
得られたDNA溶液(アガロース分解溶液)10µlまたは5µlを市販のSequencing Kitを用いてシークエンス反応に用いた。
市販Kitでプライマーを除去した後、減圧乾燥し、サンプルバッファーに溶解して全量を用いて塩基配列の解析(ABI 社製 377 シークエンサー)を行った。対照として、同様に切り出したゲルブロックから市販Kitを用いてDNA断片を精製し、水で溶出回収したものを用いた。
<結果>
アガロースゲル分解物を精製によって除去しなくても、除去した場合と同等の塩基配列解析結果が得られた。 *2
*1 Thermostable β-Agaraseは70℃で30分間加温しても10%以上活性が維持される。 *2 高濃度・高分子量のアガロース分解物が混入すると、解析機器の機種によっては故障の原因につながる可能性がある。高分子量のアガロースゲル分解物は遠心やフェノール・クロロホルム処理で除くことができる。 (注意) 独立行政法人 海洋研究開発機構から提供されたマニュアル掲載の画像、記事、データ等の無断転載、複製、加工、転用を固く禁止いたします。
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